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本立寺のお堂が今の形になった理由

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「ホテルの窓から不思議な建物が見えたから来た」と日本を訪れたゲストの方が話してくれたり、ふらりと参拝に訪れた方からは「あの建物は何ですか?」と質問されることがあります。参道から入ってきて正面に見えるこの六角形のお堂は1966年製(昭和41年竣工)の建物です。中に日蓮聖人像と大曼荼羅ご本尊を安置している本立寺の本堂です。以前はみなさんも見慣れている木造のお堂でしたが、本立寺が建っている品川区は1945年(昭和20年)B29爆撃機による大空襲に見舞われ、お堂は焼失してしまいました。


 ▲戦前の本堂

すべてが焼けてしまった様子をみて心を痛めた本立寺第21世住職・中島節也は時間をかけて復興に挑みます。教会のようなイメージで再建されたお堂はお客様の席はすべてイス席です。現代でこそ普及したイス席ですが、これは当時としては非常に珍しい仕様でした。そして、注目すべきは50年も前、スマホはもちろん、パソコンもない時代にコンクリートが曲線構造で造られていることです。「これは先輩たち頑張ったなぁ。美しい。すごいなぁ。」現代の建設会社のベテラン技術者が本堂を眺めながらそう呟いていたことが印象的でした。さて、どうしてコンクリート建てにしたのでしょうか。あくまでも推測ですが、中島節也は悔しかったのだろうだと考えています。もう2度と焼けてすべて無くなるような思いはしたくない。新しく、丈夫なものを作るんだ。そのような想いがお堂を通じて語りかけてくるようです。建築としての職人技と造形美、戦後復興の中での新しい寺院としてのカタチの提案。一度ご覧ください


 ▲現在の本堂